前回は動物のゲノムデータからウイルスを探す研究を紹介しました(ゲノムデータからウイルス)。
その次のステップを考えてみます。
その論文では、Blastという、ウイルスの塩基配列データベースに掲載されているウイルスの塩基配列を動物のゲノムデータを単純に比べて塩基配列を探しています。だから、この方法では、「知られているウイルス」しか調べることができません。
でも、もし、動物のゲノムデータや遺伝子データからウイルスを探すとしたら、できれば、「これまでに知られていないけれども、もしかしから危険なウイルスを探したい」と研究者なら考えるはずです。そのようなウイルスが偶然でも発見されていれば、感染拡大に備えることができます。
そこで、必要になるのが「ウイルス種とは関係なくウイルスを探す」技術です。
なんかすごく突飛な技術のように思われるかもしれませんが、実現しています。自慢ですみませんが、私が論文を書きました(ブログの著者を明かしてしまいました)。
この研究では、「〇〇ではないDNAを増幅するPCR法(サブトラクションPCR法)」を使ってウイルスをPCRで増やしています。つまり、動物ではない塩基配列を探したらウイルスなはず、という発想で論文を作りました。ただし、動物全体のDNAではうまく行かないかもしれないので、RNAウイルスに限定して、動物のRNAをリボゾームRNAという最も一般的なRNAに限定しました。
そしたら、6塩基のパターンで、ウイルスの特徴を見つけることができました。実は逆で、動物のリボゾームRNAが特徴的で、ウイルスにはそのような特徴が無いことがわかったのです。図のAがリボゾームRNA、Cがウイルスです。横軸は、リボゾームRNAに存在している6塩基のパターンを出現頻度順に並べたもので、縦軸はその頻度を示しています。なんと、リボゾームの配列を6塩基に分けるとほとんどが96種類の6塩基で作られていて、ウイルスはそのようなことがありませんでした。
だから、リボゾームRNAではないRNAを探したら、ウイルスがきれいに出てきたのです。ウイルスに感染した細胞から、家畜の遺伝子ではないRNAを選び出したのですが、結果的にウイルスの断片が増幅されています。つまり、ウイルスを探すのではなく家畜の遺伝子以外を探したらウイルスを取ることができた、のです。
Endoh, Daiji, et al. "Species-independent detection of RNA virus by representational difference analysis using non-ribosomal hexanucleotides for reverse transcription." Nucleic acids research 33.6 (2005): e65-e65.
もし、この技術をもっと工夫して、動物のゲノムに使うことができれば....
「これまでに知られていないけれども、もしかしから危険なウイルスを探す」ことができるかもしれません。
ちょうど、それに使えそうな技術も開発しているので、これから挑戦してみようと思います。
キーワードは 「DNAはコンピュータだ」「たくさんの文字から見えない特徴を探す」と「人工知能」です。


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